MILKY'S WAY

中国語と資格試験と旅行とかについて気の向いたときに書いてます。

中国語朗読の全国大会で優秀賞を獲得、及びその経緯

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Twitterではすでにご報告はいたしましたが、今年の1月7日に開催された第35回全日本中国語スピーチコンテスト全国大会朗読部門(大学生・大学院生の部)で優秀賞を獲得いたしました。

以下では地区大会・全国大会に出場するまでの流れや練習の経緯についてまとめたいと思います。次回以降の大会に出場しようと思う人たちの一助になれば幸いです。

今回の朗読課題文については、神奈川県日本中国友好協会にアップされているPDFで閲覧可能です(時間が経って消されていたらごめんなさい)。

朗読大会に参加しようと思ったきっかけ

 

まず私がこの大会に出場しようと思ったきっかけは単純で、何か中国語で全国レベルの賞を取りたかったからです。

私が以前に取り組んでいた趣味では、練習量の不足(これはただ単にこの趣味に掛ける時間が私自身の学業に影響を及ぼすと考えていたことによります)・実力不足により全国大会(はおろか地区大会でも勝てない始末)に進むことはできませんでした。従って大学2年生の終わりごろから、この趣味には見切りをつけ中国語の学習に熱を入れたという経緯があります(中国語の勉強自体は大学1年生の頃から始めていました)。なのでHSKや中国語検定などの資格という形だけではなくて、このような大会という形での結果を残したいという思いはありました。

この中国語のスピーチコンテストには二つの部門があります。一つは名前の通りのスピーチ部門、もう一つは朗読部門です。スピーチ部門では自分で書いた文章を読むことは勿論ですが、質疑応答による中国語の会話が必要です。それに対して朗読部門では与えられた文章を「読み上げるだけ」ですから、こちらの方が敷居は低いと考えました。なのでスピーチコンテストの類に一度も参加したことのない私は、朗読大会ならば全国大会を狙えるのでは?と思い朗読部門に出場することを8月の中旬に決めました。

 

神奈川県大会まで

さて朗読大会の準備をしようと意気込んだ私ですが、上述の通りスピーチコンテストの類に参加するのが初めての私は何をどう準備すればいいのか悩みました。具体的には、

1)朗読文は暗記するのか?しないのか?

2)手振りはつけるか?つけるとしたらどのような手振りをするか?

3)抑揚など表現面はどうするか?

など、普通の中国語の学習過程ではあまり生じないような問題が生じました。

そこで、インターネット上に朗読大会の映像はないかと探していたところ、昨年の朗読大会の動画を見つけました(この松永さんの動画、今見ても私はすごいと思います)。

www.youtube.com

やはり朗読とは言えども相手の心に思いを伝えるには、文章に目を向けていてはダメで暗記は必須だろうなと思いました。そこで文章がまず読めるようになってから手振りや抑揚などの問題については考えることにしました。

 

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図:神奈川県大会まで使っていた練習用の紙

 

文章の暗記については、普段の中国語学習の通りに文章中の分からない/不安な単語を辞書で引き、自分で物語を要約して物語を覚えやすくすることを努めました。この、物語を要約することは後の強弱や抑揚をどこでつけるかという問題にも絡んでくると思ったため、最初に書いておき基本のストーリー展開が悩んでいくうちに自分の中でぶれないようにしました。中国語の先生にも文章の朗読をお願いし、それを参考に区切る箇所など基本的な部分を確認しながら音読をし1週間程度で暗記が終わりました。ここからは表現について考えることになります。表現の問題については自分一人で考えるのには限界があると感じたため、

www.amazon.cn

この本を買ってきて参考にしました。

 

昨年の動画の朗読(下図)では、話し手の回想部分(我想:听到哪个人手上呢?・・・の部分)やクエスチョンマーク・エクスクラメーションマークがありました。

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図:昨年度の朗読大会の課題文

 

それに対して今年は会話文や回想文が全くなく、事実を淡々と叙述している文章だなという印象を受けました。ただやはりこの文章にも登場人物の気持ちの変化はあることはわかります。文章を要約すると以下のようになります。

前提:一緒に住んでいる7人が毎日粥を分ける

問題点:毎日粥が足りない(→何かいい方法を考えよう)

イデア1:毎日くじ引きで粥を分ける人を決める

毎日くじ引きはめんどくさい 廃案

イデア2:1週間に1回当番制で粥を分ける

自分の番の時だけしかおなかいっぱいにならない 廃案

イデア3:徳の高い人に一任し、粥を分けてもらう

はじめは平等に分けられていた(成功に思えた)

その人に取り入って便宜を図ってもらおうとするなど腐敗が生じた 廃案

イデア4:7人を二つのチームに分けて毎日誰が粥を分けるかを話し合う

話をしている間に粥が冷めてしまう 廃案

イデア5:当番制で粥を分ける ただし粥を分けた人は一番最後に粥を選ぶ

自分が一番少ないのを食べたくないから、皆平等に分けるようになった。

粥の量は増えていないものの、文句を言う人はいなくなった 成功

 青字は彼らにとってマイナスの感情を惹起させる箇所、赤字が彼らにとってプラスの感情を惹起させる内容であることがわかります。なので、青字の箇所は声の調子をを抑え気味に、赤字の箇所は声の調子は高めに読むことにしました。またそれに伴い表情も悲しい感じ・嬉しい感じを出すように努めました。

間の取り方についても注意を払いました。

まず段落と段落の間はしっかり入れ、コンマ、句読点の箇所についても間を取るべきでしょう。

またこれらがない場所でも間を入れる場所はあると思いました。例えば

2行目:于是他们决定//轮流负责

6行目:而多数人//挨饿

9行目:吃到嘴里的粥//全是凉的

の箇所について、

2行目は、彼らの判断が下される状況であること、及び10行目の”他们想出了一个办法:轮流分粥“と繋がる部分であるため、ここは“轮流负责”を強調して10行目に繋げる意味で間が必要だと考えました。

6・9行目はほぼ同じ理由でして、聞き手に少し想像させる時間を与えたかったことによりますし、自分としても挨饿と全是凉的の部分は気持ちを落ち着かせて読みたかったので間を意識して取りました。

手振りの問題については、神奈川県大会では中国語の先生から「手振りはいらなんじゃないの?」と言われたので、手振りはなしで神奈川県大会に臨むことにしました。

 

神奈川県大会当日

神奈川県大会当日、受付は9:40から始まるそうなので私はそのつもりで家を出たのですが、ここで私の家の最寄り駅に着いたときに時計を見て9:40であることに気が付きました。「あれ、集合って9:40じゃなかったっけ???」。そうです、なんと私はYahoo路線で出発と到着のボタンを押し間違えており、9:40に最寄り駅を出発するように検索をかけていたのです!今振り返れば受付が9:40なのに9:40に出発して10時〇〇分に着くことに違和感を覚えなかった私が馬鹿なのですが、この時は本当に焦りました。神奈川県日本中国友好協会に電話をかけても日曜日なので繋がりません。遅刻は確定なので欠席することも一瞬考えましたが、会場の最寄りに着くのが10時半ばの予定でしたし、手元に届いていたスケジュールには10:10~11:10で中学生・高校生→大学生・大学院生の順に発表と書いてあったのでまだ間に合うかもしれないと思い行くことにしました。

結局会場に着いたとき順番的にはちょうど前の人の発表が終わった直後で、その次に私の発表という順番(どうやら発表順はくじで決めていたようです)だったので、あと1分会場に着くのが遅れていたら発表できていなかったと思います。

主催者側の配慮で私の発表順番は一番最後に。状況が状況でしたので、私は緊張する暇もなく発表をすることになりましたが、逆に緊張をしなかったので、練習通りのことを披露できたと思います。結果は最優秀賞でした。

審査員の方からは手振りを加えたほうがもっと良い朗読になるという指摘を受けたので、全国大会に進めるならばまずは手振りの問題について考えなくてはならないと思いました。

 

全国大会まで

さてこの朗読大会ですが、都道府県大会で開催されている同様の大会で最優秀を獲得すると全国大会”一次審査”に進むことが出来ます。

一次審査は特に会場に出向いて朗読を披露するというわけではなく、都道府県大会の時に録音されたテープをそのまま全国大会一次審査に使用します。さらにこの一次審査で全国大会の順位まで決定してしまいます。

つまり、全国大会一次審査に通過した人たちの中で一次審査を受け、その中の3人がこの時点で順位付けされ、全国大会で朗読を披露・表彰されるというわけです。従って、私はこの全国大会までの流れはよく知りませんでしたが、全国大会に本気で進みたいと思うのならば、都道府県大会の時点で自分が完璧だと思えるような朗読をする必要があります。

(註:スピーチ部門は少し違うようでして、スピーチ部門は(大学生・大学院生の部に関しては)同じく都道府県大会時にテープ審査がありますが、その中から10人を全国大会に招き、全国大会でまた審査を受けて順位付けを行います。)

11月の終わりに審査の結果が手紙で届きました。

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この時期は12月の中旬に別の朗読劇の発表会がありその暗記で少し忙しかったので、練習を再開したのは12月の中旬ごろからです。結果は優秀賞とこの時点で知っていましたし、いくら練習して全国大会でうまい発表をしても結果は変わりません。しかし自分自身全国大会という舞台で発表する以上は適当な発表はできないと思い、ベストな状態で発表しようと思い練習をしました。

まず神奈川県大会での反省点として

1)手振りの問題

2)“但是”の読み分け

が挙げられます。

1)については審査員の方に指摘されたことうけ、何か手振りを入れようと考えました。然し何からなんでも手振りを入れていいというものでもありません。上の本でも、“朗读时不宜做过于夸张的动作,以免分散公众对作品内容的注意力(朗読の際は聞き手の作品に対する注意力を削ぐ恐れがあるので大げさな手振りをするべきではない)”と書いてありましたが、私はこの考えには強く賛同しており、朗読の主役はあくまで声であって手振りではないので、手振りはあくまでも聞き手の想像力を掻き立てるようなものにとどめようと思いました(またこの私の考え方は、中国語の勉強を始めたきっかけが音からだったので、聞き手の方々にはより声に注意して聞いてほしいという思いからでもあります)。私が手振りを入れたのは

①一行目:七个人

②一行目:不够的

③二行目:很麻烦(ここは顔の動き)

④二行目:轮流负责

⑤三行目:只有一天能吃饱

⑥三行目:自己分粥的那一天

⑦五行目:推选出一个的德高望重的人

⑧六行目:挨饿

⑨九行目:吃到嘴里的粥(ここまで手振り)全是凉的(顔の動き)

⑩十行目:想出了一个办法

⑪十行目:轮流分粥

⑫十二行目:没有增加

の12箇所です。

基本的には同じ動作はしないようにしようとしました(例えば⑤と⑩は安直に手振りをするならどちらも右手で1のポーズをするだけですが、⑩では左手の平を上に向け右手をグーにして左手の平にポンと載せる

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のような手振りにしました)。ですが、④と⑪はあえて手振りは同じにしました。先ほども述べましたが、私の解釈ではこの2か所は繋がっていて、初めに思い付いた考えから紆余曲折を経てまた同じような考えに戻ってくるというところに一種の面白みがあると感じました。なのである種の既視感を作り出すためにあえて同じにしてみました。

①の部分で7を手で表現するかどうかはすごく悩みましたが、アルバイト中に中国語を話しているときに数字を言う際に手が勝手に動いていることに気づき、この部分は自分の感性に従って7を手振りで表現することにしました。ちなみに中国では1から10までを次のように表現するそうです。

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2)については神奈川県大会の時には全く意識しなかったことですが、この文章には“但”と“但是”が合わせて5回も用いられています。然しそれぞれの働きはそれぞれ違っていて

①“他们抓阄决定谁来分粥。但是每天都要抓阄,很麻烦”はマイナス方向への逆接

②“每天负责一天。但是一周下来”はマイナス方向への逆接。それとともに①の但是の近くに用いられているため「また問題が起きてしまった」といううんざりしたニュアンスが込められていると感じた

③“分得挺公平的。但是,有权利”プラス方向からマイナス方向への逆接

④“轮流分粥。分粥的人”は補足説明的ニュアンス

⑤尽管粥并没有增加,但是,大家“はプラス方向への逆接

という言う風に捉えるができます。下にこれを踏まえた但是の読みわけ(①と②だけですが)を載せておきました。良かったら聴いてみてください

但是①:

但是②:

 他にも神奈川県大会の時から細かな修正を加え、例えば“争论了半天”の“半天”の読む速度に少しの修正を加えました(長い時間討論しているという感じを出すためにゆっくり目に発声することを心掛けました)。

全国大会当日

朗読部門の出場者は14時集合と言われていましたが、質疑応答など来年の参考にしたいと思いましたし、純粋にスピーチ部門の発表も聞きたかったので9時半に会場入りしました。

私の発表は関係ないですが、さすが全国大会に来ているだけあって発音に関しては漏れなく全員かなりうまかったです。大学生部門のスピーチ発表者はほぼ全員留学経験者だったので、それをネタに話をされている人が多かったです。高校生は卑近な話題(センター試験、学校にきた留学生、中国への旅行)を取り上げそれを題材に話をされている人が多く、社会人は自分の人生経験を話題にしてお話をされている方が多かったです。

質疑応答に関しては高校生・大学生・社会人すべての部門に於いてきちんと答えられている人と答えられていない人は分かれている印象でしたし、ところどころ答えられない質問があった人も上位に食い込んでいましたからから、質疑応答ができるか不安だなぁと思っている人でもそんなに心配する必要もないかなと思いました。

朗読部門に関しては、発表の後に皆さんの前で審査員の方からひと言コメントを頂く機会がありました。例えば(メモする余裕がなかったので覚えているものだけですが)

高校生部門

①“妈妈”の発音(軽声の発声をないがしろにしない)

②“快”の発音(kuaiのaは”ア”ではなく”ヤ”に近い)

③“真后悔“の“真”の発音(捲舌音が弱い)

一般の部

①“多年前”の2声+2声の前半2声が半3声になっている

大学生の部

①“轮流”の発音(lunは正しくはluenなのだからそのように発音すべき)

それで私が指摘された箇所は

②一行目の“都”の部分でアクセントを置くことはない

③書面語の発音と口語の発音を統一すべき(私は“谁”を"shui",“那”を"nei"と読んでいました)

あとこれは全部門に言われていたことですが、有気音が無気音に聞こえるという指摘がありました。特に二音節中に存在する有気音は無気音になりがちだと審査員の方がおっしゃっていました。

私は最初に中国語の先生に模範録音してもらう以外はすべて一人で準備を進めてきたので、上にあげた②・③の点については完全に盲点でした。

終了後は参加者+同伴者での懇親会がありましたので参加しました。懇親会では主に高校生(高3生)と話をしていたのですが、中国語検定2級を受けたなどと言っていて自分とそう中国語の実力が変わらないことに大変驚きました(逆に若いうちは頭が柔らかいですから、高校生の方が上達は早いのかもしれませんね)。

 

最後に

最初は「読み上げるだけ」だと思っていた朗読ですが、練習をしていくうちに想像以上に奥深いものだなと痛感しました。いつもは20~30回音読して終わり、暗唱して終わりの中国語の音読の勉強をしていましたが、今回は一つの文章を暗唱しさらに上のステップを追求していくもので、さらにその約4か月の間向き合ってきた朗読に対して批判を頂くのは大変貴重なものでした。また全国大会では自分のベストを披露できたかなと思っているので、今年度の結果には大変満足しています。

言い間違えたらどうしようなどと思って人前で中国語の発表をするのは少し勇気が要るな、と思うかもしれませんが、私自身この大会を通して結果はどうであれこのような大会は出ること自体に意味があると思うようになりましたので、ちょっとでも興味があったらスピーチ部門であれ朗読部門であれ参加してみるのがよいと思います。

今年は私はスピーチ部門で出場する予定ですから、神奈川県大会・全国大会で皆さまと熱いスピーチ合戦ができることを期待しております。